「愛知県新体育館」現在の状況・2022年7月【世界トップクラスのアリーナを標榜!】

夏の風物詩にもなっている大相撲名古屋場所が開催されている愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)の移転新築計画が進んでいます。
「愛知県新体育館」は、現在の名古屋城二の丸から名城公園北側の一部に移転新築され、メインアリーナ、サブアリーナ、多目的ホールなどで構成される、延床面積約58,400㎡、建物高さ約41mという世界トップクラスの施設水準となります。
新体育館は大相撲を始めとしたさまざまなスポーツイベントのほか、これまで名古屋に少なかったアリーナクラスのコンサートホールとしての活用も期待されていて、“名古屋飛ばし”という俗語を過去のものにしてしまう可能性を秘めています

「新愛知県体育館の概要」
現在の愛知県体育館が完成したのは1964年。以来半世紀以上、大相撲夏場所の開催などを通じて親しまれている施設ですが、老朽化により規模や機能がスポーツの国際大会を開催するための水準を満たさなくなっています。
このため、2026年に開催予定のアジア競技大会に利用できるよう、新体育館の整備を進めることになりました。

新体育館はどこにできる?

「愛知県新体育館」は、名城公園北側の一部(名古屋市北区)に建設されます。現在の愛知県体育館は名古屋城二の丸(名古屋市中区)にありますが、そこから800メートルほど北にいった場所です。

新体育館の建設に伴い従前あった野球場や名城公園プールは解体撤去されています。

事業計画地の概要は以下のとおりです。

所在地 名城公園の一部(名古屋市北区名城1丁目地内)
面積 約4.6ha(建物建築上の敷地面積は165,122.87㎡)
管理者 名古屋市
土地所有者 国(東海財務局)
区域区分・用途地域 市街化区域・第二種住居地域
建ぺい率・容積率 60%・200%
その他 31m高度地区、第一種風致地区など

事業方式は?

「愛知県新体育館」の建設とその後の維持管理・運営は、民間資金を活用するPFI手法を活用し「BTコンセッション方式」により行われます。

これは事業者が自らの提案をもとに新体育館の設計・建設を行ったあと、県に所有権を移転(Build Transfer)し、その後の維持管理・運営は官民連携による運営権付与(コンセッション)により引き続き事業者が行うものです。

メリットとして、施設の整備と運営を一体事業とすることで、将来の運営・維持管理を見据えた施設計画を行えることや事業者の収益性がクリアになること、さらに運営権対価の最大化が図られるという点が挙げられます。

事業者は?

PFI法により事業者の募集を行った結果、2021年2月17日に「Aichi Smart Arenaグループ」として以下の企業グループが落札者として決定されました。

代表企業 前田建設工業(設計・建設期間)
NTTドコモ(維持管理・運営期間)
構成企業 Anschutz Sports Holdings
三井住友ファイナンス&リース
東急
中部日本放送
日本政策投資銀行
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド

設計は、新国立競技場などの設計を手がけた隈研吾が担当します。

新体育館はどのような施設になる?

外観のイメージ図です。隈研吾らしい“和”を基調とした「樹形アリーナ」で名城公園の木立や名古屋城天守閣とも調和がとれそうです。

新体育館の施設計画では、メインアリーナ・サブアリーナ・多目的ホール等の利用用途の役割分担を明確にし、各々に最適な機能が整備されるともに一体利用や個別利用に対応した配置・動線が実現されます。

メインアリーナには「ハイブリッドオーバル型(オーバル型+馬蹄型)」の観客席が設けられ、天井高30mが確保されます。

オーバル型が適した各種スポーツから馬蹄型が適した音楽イベント、広い競技面が必要なフィギュアスケートまで、質の高い観戦・鑑賞体験を提供するグローバル水準の施設となり、ワールドクラスのイベントの誘致が可能です。

建築物の概要は以下のとおりです。

敷地の地名地番 名古屋市北区名城1丁目4番1
用途 観覧場
敷地面積 165,122.87㎡
建築面積 28,922.76㎡(計画部分26,466.90㎡)
延床面積 65,139.28㎡(計画部分62,552.06㎡)
構造 鉄筋コンクリート造/一部鉄骨造
階数 地上6階建
最高高さ 41m
メインアリーナ天井高 30m
最大収容人数 17,000人(立ち見含む)
建築主 株式会社愛知国際アリーナ
工事施工者 前田建設工業株式会社

大相撲開催時のイメージです。11,000席が配置可能です。

フィギュアスケート開催時のイメージです。14,100席が配置可能です。

バレーボール国際大会開催時のイメージです。バスケットボール開催時の座席数が15,000席なのでおそらく同数くらいになると思われます。

コンサート開催時のイメージです。おそらくコンサート開催時が最大の収容人数(17,000人)になるのではないでしょうか。

施設内のパースです。ポストコロナ時代ということで感染症対策も意識した仕様になるものと思われます。

スケジュールは?

2022年6月末まで旧公園施設の取り壊し工事を行い、7月1日から建設工事が開始されます。完成は2025年の夏を予定しています。

現地の様子(2022年5月)

大津通に架かる「愛知学院大学名城公園キャンパス歩道橋」から望む建設地全体の様子。旧公園施設の解体は完了しています。

同じ場所から名古屋城天守閣と名駅のビル群を望みます。ここに新体育館が加われば名古屋を象徴する新しい風景が出現します。

最寄り駅は地下鉄名城線「名城公園」駅です。新体育館の玄関口となるとともに周辺では大学キャンパスの新設も相次いでいて、まもなくリニューアル工事が行われる予定です。

広大な更地が出現しています。向こうに見えるのは名古屋造形大学の新キャンパスや愛知学院大学のキャンパスです。

ランナー向けの施設「tonarino(トナリノ)」のテラスから見た建設地の様子。シャワー・ロッカールームやスポーツ関連施設のほか、カフェ・レストランが入っています。

名城公園はランナーも多いことから、新体育館完成時は来場者とランナーの動線を分ける工夫も採られるものと思われます。

公園内の部分は全て仮囲いで囲われています。

名城公園周辺では土日祝は駐車禁止が解除されるため、多くの駐車車両が見られ、ある意味場所の争奪戦です。新体育館完成後はさらに争奪戦が激しくなるかもしれません。

現在の愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)。新体育館の完成まではこちらで大相撲名古屋場所が開催されます。

1万人規模のアリーナが充実! 名古屋飛ばしは過去のものに?

有名アーティストのコンサートなどが名古屋やその周辺地域で行われない “名古屋飛ばし”という俗語があります。

このようなことがいわれる一因に名古屋地区でのコンサートホール不足が挙げられることがあります。特に名古屋地区では10,000人規模を収容できるアリーナクラスの施設が現時点では名古屋市南区の日本ガイシホールしか存在していません。

この日本ガイシホールが改修工事のため、2019年1月から2020年7月まで休館となった際には特にコンサートホールの不足が懸念されたということがありました。結果的にコロナ禍に陥ってしまい、コンサート自体が行えないという皮肉な状況になってしまったのですが…。

名古屋周辺にある収容人数5,000人以上の主なコンサートホールをまとめてみました。

コロナ禍もあり、本来ドームツアーを行うような超大物アーティストも日本ガイシホールで公演を行っているからか、同ホールに有名アーティストの公演が集中しているようにも見受けられます。

しかし、ポストコロナ時代を見据え、名古屋のコンサートホール不足は解消に向かいそうです。

2022年10月には港区金城ふ頭の名古屋国際展示場(ポートメッセなごや)に新第1展示場がオープン、15,000席規模のアリーナとしても利用が可能です。

名古屋市が主体となった上記施設に対し、愛知県が主体となったAichi Sky Expoも2019年に常滑市のセントレア島内にオープンしています。

愛知県と名古屋市の二重行政の象徴ともいえるハコモノかもしれませんが、選択肢が広がるという点では悪くはないのかもしれません。

そして、2025年には今回お伝えした愛知県新体育館がオープンし、名古屋周辺では10,000人規模を収容するアリーナが複数存在する時代を迎えようとしています。

願わくは、有名アーティストが名古屋をすっ飛ばすことなく、“名古屋飛ばし”なる俗語が過去のものになってほしいと思いますが、果たしてどうなるのでしょうか。