令和2年福祉医療委員会 3月13日
【松川浩明委員】
福祉医療行政は多岐にわたり、子育てから高齢者まで大変な役割を果たしているが、昨今、福祉や医療の行政は、人の健康を守る、人の命を守る、この二つがキーワードになっていると思う。その中で、福祉局では、子供の貧困対策や、障害者の福祉、地域包括ケアなど、また、病院事業庁では、がんセンターをはじめとする県立病院を所管し、県民の医療のニーズの高いがんや小児などの政策的医療を担うなど、多様な施策に取り組んでいる。
本委員会でも本年度、児童虐待防止の連携体制の取組状況や、がんゲノム医療に関わる民間との共同研究など、様々な課題などについて議論がされ、新型コロナウイルス感染症対策についても、一刻も早い収束に向けて取り組んでいる。
そうした中で、本年3月をもって平田福祉局長が退職し、木下病院事業庁長が任期満了となる。
様々な課題に直面し、乗り越えてきた二人から、業務を振り返りつつ、医療福祉の行政の今後の課題に取り組む後輩職員に伝えるべきことを伺う。
【福祉局長】
福祉行政は、県民の安全・安心を担う最前線であり、また、県民の生活に深く関わる重要な業務を多く所管しているので、特に、健康福祉部長、福祉局長を務めたこの2年間は、緊張感を持って仕事に臨むとともに、課室長と常に課題を共有して必要な取組を進めてきた。周りの職員に支えられ、何とかその職責を果たすことができたと思っている。
私は平成27年度に健康福祉部次長を1年務め、その後2年間はほかへ行って、平成30年度に健康福祉部長として戻ってきた。僅か2年間ではあったが、戻ったときには、子供の貧困対策の施策やあいちオレンジタウン構想がスタートしていた。また、児童虐待の件数が当時よりも激増しており、そういったものにすぐ対応する状況で、社会情勢の変化に応じて福祉行政の課題や取組も刻々と変化しているということを実感した。
さらに、平成27年度の頃は、2025年が越えるべき山ということで高齢者福祉施策を進めていたが、今ではその先の、高齢者の数がピークになると言われる2040年を見据えた施策も進めていかなければならない状況である。高齢世帯の孤立化など様々な問題が発生してくるのではないかと思っている。
こういった社会情勢の変化の激しい中にあって、福祉局においても、より柔軟かつスピード感を持って対応していかなければならないが、職員にお願いしたいのは、一つは、あいち人材育成ビジョンにもある、自ら考え行動する職員を目指してほしい。
限られた人員で新しい課題に取り組んでいくには、自立して広い視野で課題を捉えて解決に向けて行動してくれる職員がたくさん必要になってくる。
もう一つは、大きな課題には組織で対応しないといけないので、組織の一員であることを意識して、組織に貢献できる職員を目指してほしい。
さらに、特に福祉局では、取組を進めるに当たり、当事者の意見を丁寧に聞いてほしい。
職員には、こうした思いを業務の中で少しでも意識して進めていくことをお願いしたい。
【病院事業庁長】
この4年間、行政改革の真っただ中にもかかわらず、それぞれの県立病院が今後進むべき方向性を目指し、特に人員配置を中心とした体制整備をすることができた。周りの状況を見ても、人を増やすことがどれだけ難しいかはずっと感じていたので、大変ありがたいことである。
ただ、病院事業庁始まって以来、全病院での黒字化は一回もできていない。それを目指して努力したが、経営基盤の確立という点では結果を残すことはできなかった。
今後、病院事業庁職員にお願いしたいのは、今まで私も4年間、現場第一主義でやってきたので、これを続けてほしいということと、今後も県立病院が高度で先進的かつ良質な医療を県民に提供し続けるためには、ステップアップして進歩していかないといけないので、継続して医療の充実に対する努力を続けてほしいということと、経営基盤の確立もとても重要なことなのでさらに努力をしてほしい。